精神科での研修について(上山佑一郎)
精神科後期研修2年目の上山佑一郎と申します。
機会をいただきましたので、当科での診療や研修内容についてお伝えさせていただければと思います。
我々、人間とはどういう生き物でしょうか。博物学者のリンネは「Homo sapiens(叡智ある人)」と名付け、続いて数々の学者たちが「工作する人」「遊ぶ人」「シンボルを扱う人」などと様々な定義がなされてきました。
精神科医としては、オーストリア出身の精神医学者であるV.E.フランクルが「Homo patiens(悩む人)」と定義しています。彼は強制収容所の中で過酷な環境にありながらも、生きる意味を問いかけ、先のように提唱しました。
病院には数多の悩んだ方が来られます。それらは時として身体疾患であり、我々の領域ではないこともありますが、患者と対話し、その悩みと真摯に向き合って治療していくことは精神科医としての喜びであるように感じます。実際の診療においては、精神医学分野においては未だに未解明の部分が多く、治療に難渋することも多いですが、悩みながらも患者と一緒に前を向いて行けたときの感動もひとしおです。
さて、当科での研修内容についても触れさせていただきます。
入局1年目では、午前中は予診などの補助的な外来業務・午後には病棟診療を担当します。病棟では担当症例ごとに指導医がつき、4~5人程度の担当患者を持ちます。指導医によって少しずつ違う診療のやり方を学んでいくことができます。
2年目の現在は、2コマの外来と病棟では3~5人程度の患者を担当しています。大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いた研究を行っています。
当科の医局員たちは、「来るもの拒まず去る者追わず」のスタンスの先生が多く、程よく目をかけてくれて、相談にも親身に乗ってくれます。精神疾患や人間に興味があれば、楽しい分野だと思いますので、興味ある方はぜひ一度ご見学や研修にいらしてください。
徳島大学病院 精神科神経科・心身症科 上山佑一郎